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第一節 通則


(紛争解決等業務を行う者の指定)
第五十二条の六十二  内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務を行う者として、指定することができる。
一  法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。
二  第五十二条の八十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であつて紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。
三  この法律若しくは弁護士法 (昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者でないこと。
四  役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。
イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ニ 第五十二条の八十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であつた者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であつて紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であつた者でその取消しの日から五年を経過しない者
ホ この法律若しくは弁護士法 又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
五  紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。
六  役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
七  紛争解決等業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。
八  次項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第五十二条の六十七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(同条第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに同条第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた銀行の数の銀行の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となつたこと。
2  前項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、銀行に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。
3  内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあつては、第五十二条の六十七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
4  内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、指定紛争解決機関の商号又は名称及び主たる営業所又は事務所の所在地並びに当該指定をした日を官報で告示しなければならない。

(指定の申請)
第五十二条の六十三  前条第一項の規定による指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した指定申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一  商号又は名称
二  主たる営業所又は事務所その他紛争解決等業務を行う営業所又は事務所の名称及び所在地
三  役員の氏名又は商号若しくは名称
2  前項の指定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一  前条第一項第三号及び第四号に掲げる要件に該当することを誓約する書面
二  定款及び法人の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。)
三  業務規程
四  組織に関する事項を記載した書類
五  財産目録、貸借対照表その他の紛争解決等業務を行うために必要な経理的な基礎を有することを明らかにする書類であつて内閣府令で定めるもの
六  前条第二項に規定する書類その他同条第一項第八号に掲げる要件に該当することを証する書類として内閣府令で定めるもの
七  その他内閣府令で定める書類
3  前項の場合において、定款、財産目録又は貸借対照表が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて当該電磁的記録を添付することができる。

(秘密保持義務等)
第五十二条の六十四  指定紛争解決機関の紛争解決委員(第五十二条の七十三第二項の規定により選任された紛争解決委員をいう。次項、次条第二項並びに第五十二条の六十七第二項及び第四項において同じ。)若しくは役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、紛争解決等業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
2  指定紛争解決機関の紛争解決委員又は役員若しくは職員で紛争解決等業務に従事する者は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
    第二節 業務


(指定紛争解決機関の業務)
第五十二条の六十五  指定紛争解決機関は、この法律及び業務規程の定めるところにより、紛争解決等業務を行うものとする。
2  指定紛争解決機関(紛争解決委員を含む。)は、当事者である加入銀行(手続実施基本契約を締結した相手方である銀行をいう。以下この章において同じ。)若しくはその顧客(以下この章において単に「当事者」という。)又は当事者以外の者との手続実施基本契約その他の契約で定めるところにより、紛争解決等業務を行うことに関し、負担金又は料金その他の報酬を受けることができる。

(苦情処理手続又は紛争解決手続の業務の委託) 第五十二条の六十六  指定紛争解決機関は、他の指定紛争解決機関又は他の法律の規定による指定であつて紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを受けた者(第五十二条の七十三第四項及び第五項において「受託紛争解決機関」という。)以外の者に対して、苦情処理手続又は紛争解決手続の業務を委託してはならない。

(業務規程)
第五十二条の六十七  指定紛争解決機関は、次に掲げる事項に関する業務規程を定めなければならない。
一  手続実施基本契約の内容に関する事項
二  手続実施基本契約の締結に関する事項
三  紛争解決等業務の実施に関する事項
四  紛争解決等業務に要する費用について加入銀行が負担する負担金に関する事項
五  当事者から紛争解決等業務の実施に関する料金を徴収する場合にあつては、当該料金に関する事項
六  他の指定紛争解決機関その他相談、苦情の処理又は紛争の解決を実施する国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関する事項
七  紛争解決等業務に関する苦情の処理に関する事項
八  前各号に掲げるもののほか、紛争解決等業務の実施に必要な事項として内閣府令で定めるもの
2  前項第一号の手続実施基本契約は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一  指定紛争解決機関は、加入銀行の顧客からの銀行業務関連苦情の解決の申立て又は当事者からの紛争解決手続の申立てに基づき苦情処理手続又は紛争解決手続を開始すること。
二  指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続を開始し、又は加入銀行の顧客からの申立てに基づき紛争解決手続を開始した場合において、加入銀行にこれらの手続に応じるよう求めることができ、当該加入銀行は、その求めがあつたときは、正当な理由なくこれを拒んではならないこと。
三  指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続又は紛争解決手続において、加入銀行に対し、報告又は帳簿書類その他の物件の提出を求めることができ、当該加入銀行は、その求めがあつたときは、正当な理由なくこれを拒んではならないこと。
四  紛争解決委員は、紛争解決手続において、銀行業務関連紛争の解決に必要な和解案を作成し、当事者に対し、その受諾を勧告することができること。
五  紛争解決委員は、紛争解決手続において、前号の和解案の受諾の勧告によつては当事者間に和解が成立する見込みがない場合において、事案の性質、当事者の意向、当事者の手続追行の状況その他の事情に照らして相当であると認めるときは、銀行業務関連紛争の解決のために必要な特別調停案を作成し、理由を付して当事者に提示することができること。
六  加入銀行は、訴訟が係属している請求を目的とする紛争解決手続が開始された場合には、当該訴訟が係属している旨、当該訴訟における請求の理由及び当該訴訟の程度を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
七  加入銀行は、紛争解決手続の目的となつた請求に係る訴訟が提起された場合には、当該訴訟が提起された旨及び当該訴訟における請求の理由を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
八  前二号に規定する場合のほか、加入銀行は、紛争解決手続の目的となつた請求に係る訴訟に関し、当該訴訟の程度その他の事項の報告を求められた場合には、当該事項を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
九  加入銀行は、第六号若しくは第七号の訴訟が裁判所に係属しなくなつた場合又はその訴訟について裁判が確定した場合には、その旨及びその内容を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
十  加入銀行は、その顧客に対し指定紛争解決機関による紛争解決等業務の実施について周知するため、必要な情報の提供その他の措置を講じなければならないこと。
十一  前各号に掲げるもののほか、銀行業務関連苦情の処理又は銀行業務関連紛争の解決の促進のために必要であるものとして内閣府令で定める事項
3  第一項第二号の手続実施基本契約の締結に関する事項に関する業務規程は、銀行から手続実施基本契約の締結の申込みがあつた場合には、当該銀行が手続実施基本契約に係る債務その他の紛争解決等業務の実施に関する義務を履行することが確実でないと見込まれるときを除き、これを拒否してはならないことを内容とするものでなければならない。
4  第一項第三号に掲げる事項に関する業務規程は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一  苦情処理手続と紛争解決手続との連携を確保するための措置が講じられていること。
二  紛争解決委員の選任の方法及び紛争解決委員が銀行業務関連紛争の当事者と利害関係を有することその他の紛争解決手続の公正な実施を妨げるおそれがある事由がある場合において、当該紛争解決委員を排除するための方法を定めていること。
三  指定紛争解決機関の実質的支配者等(指定紛争解決機関の株式の所有、指定紛争解決機関に対する融資その他の事由を通じて指定紛争解決機関の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にあるものとして内閣府令で定める者をいう。)又は指定紛争解決機関の子会社等(指定紛争解決機関が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配する関係にあるものとして内閣府令で定める者をいう。)を銀行業務関連紛争の当事者とする銀行業務関連紛争について紛争解決手続の業務を行うこととしている指定紛争解決機関にあつては、当該実質的支配者等若しくは当該子会社等又は指定紛争解決機関が紛争解決委員に対して不当な影響を及ぼすことを排除するための措置が講じられていること。
四  紛争解決委員が弁護士でない場合(司法書士法 (昭和二十五年法律第百九十七号)第三条第一項第七号 に規定する紛争について行う紛争解決手続において、紛争解決委員が同条第二項 に規定する司法書士である場合を除く。)において、紛争解決手続の実施に当たり法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするための措置を定めていること。
五  紛争解決手続の実施に際して行う通知について相当な方法を定めていること。
六  紛争解決手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行について定めていること。
七  加入銀行の顧客が指定紛争解決機関に対し銀行業務関連苦情の解決の申立てをする場合又は銀行業務関連紛争の当事者が指定紛争解決機関に対し紛争解決手続の申立てをする場合の要件及び方式を定めていること。
八  指定紛争解決機関が加入銀行から紛争解決手続の申立てを受けた場合において、銀行業務関連紛争の他方の当事者となる当該加入銀行の顧客に対し、速やかにその旨を通知するとともに、当該顧客がこれに応じて紛争解決手続の実施を依頼するか否かを確認するための手続を定めていること。
九  指定紛争解決機関が加入銀行の顧客から第七号の紛争解決手続の申立てを受けた場合において、銀行業務関連紛争の他方の当事者となる当該加入銀行に対し、速やかにその旨を通知する手続を定めていること。
十  紛争解決手続において提出された帳簿書類その他の物件の保管、返還その他の取扱いの方法を定めていること。
十一  紛争解決手続において陳述される意見又は提出され、若しくは提示される帳簿書類その他の物件に含まれる銀行業務関連紛争の当事者又は第三者の秘密について、当該秘密の性質に応じてこれを適切に保持するための取扱いの方法を定めていること。第五十二条の七十三第九項に規定する手続実施記録に記載されているこれらの秘密についても、同様とする。
十二  銀行業務関連紛争の当事者が紛争解決手続を終了させるための要件及び方式を定めていること。
十三  紛争解決委員が紛争解決手続によつては銀行業務関連紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないと判断したときは、速やかに当該紛争解決手続を終了し、その旨を銀行業務関連紛争の当事者に通知することを定めていること。
十四  指定紛争解決機関の紛争解決委員、役員及び職員について、これらの者が紛争解決等業務に関して知り得た秘密を確実に保持するための措置を定めていること。
5  第一項第四号及び第五号に掲げる事項に関する業務規程は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一  第一項第四号に規定する負担金及び同項第五号に規定する料金の額又は算定方法及び支払方法(次号において「負担金額等」という。)を定めていること。
二  負担金額等が著しく不当なものでないこと。
6  第二項第五号の「特別調停案」とは、和解案であつて、次に掲げる場合を除き、加入銀行が受諾しなければならないものをいう。
一  当事者である加入銀行の顧客(以下この項において単に「顧客」という。)が当該和解案を受諾しないとき。
二  当該和解案の提示の時において当該紛争解決手続の目的となつた請求に係る訴訟が提起されていない場合において、顧客が当該和解案を受諾したことを加入銀行が知つた日から一月を経過する日までに当該請求に係る訴訟が提起され、かつ、同日までに当該訴訟が取り下げられないとき。
三  当該和解案の提示の時において当該紛争解決手続の目的となつた請求に係る訴訟が提起されている場合において、顧客が当該和解案を受諾したことを加入銀行が知つた日から一月を経過する日までに当該訴訟が取り下げられないとき。
四  顧客が当該和解案を受諾したことを加入銀行が知つた日から一月を経過する日までに、当該紛争解決手続が行われている銀行業務関連紛争について、当事者間において仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意がされ、又は当該和解案によらずに和解若しくは調停が成立したとき。
7  業務規程の変更は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
8  内閣総理大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、当該認可に係る業務規程が第四項各号及び第五項各号に掲げる基準(紛争解決手続の業務に係る部分に限る。)に適合していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。

(手続実施基本契約の不履行の事実の公表等)
第五十二条の六十八  指定紛争解決機関は、手続実施基本契約により加入銀行が負担する義務の不履行が生じた場合において、当該加入銀行の意見を聴き、当該不履行につき正当な理由がないと認めるときは、遅滞なく、当該加入銀行の商号及び当該不履行の事実を公表するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2  指定紛争解決機関は、銀行業務関連苦情及び銀行業務関連紛争を未然に防止し、並びに銀行業務関連苦情の処理及び銀行業務関連紛争の解決を促進するため、加入銀行その他の者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うよう努めなければならない。

(暴力団員等の使用の禁止) 第五十二条の六十九  指定紛争解決機関は、暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)第二条第六号 に規定する暴力団員(以下この条において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者をいう。)を紛争解決等業務に従事させ、又は紛争解決等業務の補助者として使用してはならない。

(差別的取扱いの禁止) 第五十二条の七十  指定紛争解決機関は、特定の加入銀行に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。

(記録の保存) 第五十二条の七十一  指定紛争解決機関は、第五十二条の七十三第九項の規定によるもののほか、内閣府令で定めるところにより、紛争解決等業務に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

(指定紛争解決機関による苦情処理手続) 第五十二条の七十二  指定紛争解決機関は、加入銀行の顧客から銀行業務関連苦情について解決の申立てがあつたときは、その相談に応じ、当該顧客に必要な助言をし、当該銀行業務関連苦情に係る事情を調査するとともに、当該加入銀行に対し、当該銀行業務関連苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。

(指定紛争解決機関による紛争解決手続)
第五十二条の七十三  加入銀行に係る銀行業務関連紛争の解決を図るため、当事者は、当該加入銀行が手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関に対し、紛争解決手続の申立てをすることができる。
2  指定紛争解決機関は、前項の申立てを受けたときは、紛争解決委員を選任するものとする。
3  紛争解決委員は、人格が高潔で識見の高い者であつて、次の各号のいずれかに該当する者(第一項の申立てに係る当事者と利害関係を有する者を除く。)のうちから選任されるものとする。この場合において、紛争解決委員のうち少なくとも一人は、第一号又は第三号(当該申立てが司法書士法第三条第一項第七号 に規定する紛争に係るものである場合にあつては、第一号、第三号又は第四号)のいずれかに該当する者でなければならない。
一  弁護士であつてその職務に従事した期間が通算して五年以上である者
二  銀行業務に従事した期間が通算して十年以上である者
三  消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談その他の消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める者
四  当該申立てが司法書士法第三条第一項第七号 に規定する紛争に係るものである場合にあつては、同条第二項 に規定する司法書士であつて同項 に規定する簡裁訴訟代理等関係業務に従事した期間が通算して五年以上である者
五  前各号に掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者
4  指定紛争解決機関は、第一項の申立てを第二項の規定により選任した紛争解決委員(以下この条及び次条第一項において単に「紛争解決委員」という。)による紛争解決手続に付するものとする。ただし、紛争解決委員は、当該申立てに係る当事者である加入銀行の顧客が当該銀行業務関連紛争を適切に解決するに足りる能力を有する者と認められることその他の事由により紛争解決手続を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに第一項の申立てをしたと認めるときは、紛争解決手続を実施しないものとし、紛争解決委員が当該申立てを受託紛争解決機関における紛争解決手続に相当する手続に付することが適当と認めるときは、指定紛争解決機関は、受託紛争解決機関に紛争解決手続の業務を委託するものとする。
5  前項ただし書の規定により紛争解決委員が紛争解決手続を実施しないこととしたとき、又は受託紛争解決機関に業務を委託することとしたときは、指定紛争解決機関は、第一項の申立てをした者に対し、その旨を理由を付して通知するものとする。
6  紛争解決委員は、当事者若しくは参考人から意見を聴取し、若しくは報告書の提出を求め、又は当事者から参考となるべき帳簿書類その他の物件の提出を求め、和解案を作成して、その受諾を勧告し、又は特別調停(第五十二条の六十七第六項に規定する特別調停案を提示することをいう。)をすることができる。
7  紛争解決手続は、公開しない。ただし、紛争解決委員は、当事者の同意を得て、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
8  指定紛争解決機関は、紛争解決手続の開始に先立ち、当事者である加入銀行の顧客に対し、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。
一  当該顧客が支払う料金に関する事項
二  第五十二条の六十七第四項第六号に規定する紛争解決手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行
三  その他内閣府令で定める事項
9  指定紛争解決機関は、内閣府令で定めるところにより、その実施した紛争解決手続に関し、次に掲げる事項を記載した手続実施記録を作成し、保存しなければならない。
一  銀行業務関連紛争の当事者が紛争解決手続の申立てをした年月日
二  銀行業務関連紛争の当事者及びその代理人の氏名、商号又は名称
三  紛争解決委員の氏名
四  紛争解決手続の実施の経緯
五  紛争解決手続の結果(紛争解決手続の終了の理由及びその年月日を含む。)
六  前各号に掲げるもののほか、実施した紛争解決手続の内容を明らかにするために必要な事項であつて内閣府令で定めるもの

(時効の中断)
第五十二条の七十四  紛争解決手続によつては銀行業務関連紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないことを理由に紛争解決委員が当該紛争解決手続を終了した場合において、当該紛争解決手続の申立てをした当該銀行業務関連紛争の当事者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該紛争解決手続の目的となつた請求について訴えを提起したときは、時効の中断に関しては、当該紛争解決手続における請求の時に、訴えの提起があつたものとみなす。
2  指定紛争解決機関の紛争解決等業務の廃止が第五十二条の八十三第一項の規定により認可され、又は第五十二条の六十二第一項の規定による指定が第五十二条の八十四第一項の規定により取り消され、かつ、その認可又は取消しの日に紛争解決手続が実施されていた銀行業務関連紛争がある場合において、当該紛争解決手続の申立てをした当該銀行業務関連紛争の当事者が第五十二条の八十三第三項若しくは第五十二条の八十四第三項の規定による通知を受けた日又は当該認可若しくは取消しを知つた日のいずれか早い日から一月以内に当該紛争解決手続の目的となつた請求について訴えを提起したときも、前項と同様とする。

(訴訟手続の中止)
第五十二条の七十五  銀行業務関連紛争について当該銀行業務関連紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、当該銀行業務関連紛争の当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。
一  当該銀行業務関連紛争について、当該銀行業務関連紛争の当事者間において紛争解決手続が実施されていること。
二  前号の場合のほか、当該銀行業務関連紛争の当事者間に紛争解決手続によつて当該銀行業務関連紛争の解決を図る旨の合意があること。
2  受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。
3  第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(加入銀行の名簿の縦覧) 第五十二条の七十六  指定紛争解決機関は、加入銀行の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(名称の使用制限)
第五十二条の七十七  指定紛争解決機関でない者(金融商品取引法第百五十六条の三十九第一項 の規定による指定を受けた者その他これに類する者として政令で定めるものを除く。)は、その名称又は商号中に、指定紛争解決機関と誤認されるおそれのある文字を使用してはならない。
    第三節 監督


(変更の届出)
第五十二条の七十八  指定紛争解決機関は、第五十二条の六十三第一項各号に掲げる事項に変更があつたときは、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2  内閣総理大臣は、前項の規定により指定紛争解決機関の商号若しくは名称又は主たる営業所若しくは事務所の所在地の変更の届出があつたときは、その旨を官報で告示しなければならない。

(手続実施基本契約の締結等の届出)
第五十二条の七十九  指定紛争解決機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一  銀行と手続実施基本契約を締結したとき、又は当該手続実施基本契約を終了したとき。
二  その他内閣府令で定めるとき。

(業務に関する報告書の提出)
第五十二条の八十  指定紛争解決機関は、事業年度ごとに、当該事業年度に係る紛争解決等業務に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
2  前項の報告書に関する記載事項、提出期日その他必要な事項は、内閣府令で定める。

(報告徴収及び立入検査)
第五十二条の八十一  内閣総理大臣は、紛争解決等業務の公正かつ的確な遂行のため必要があると認めるときは、指定紛争解決機関に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、指定紛争解決機関の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、当該指定紛争解決機関の業務の状況に関し質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2  内閣総理大臣は、紛争解決等業務の公正かつ的確な遂行のため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、指定紛争解決機関の加入銀行若しくは当該指定紛争解決機関から業務の委託を受けた者に対し、当該指定紛争解決機関の業務に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、これらの者の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、当該指定紛争解決機関の業務の状況に関し質問させ、若しくはこれらの者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3  前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4  第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(業務改善命令)
第五十二条の八十二  内閣総理大臣は、指定紛争解決機関の紛争解決等業務の運営に関し、紛争解決等業務の公正かつ的確な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該指定紛争解決機関に対して、その業務の運営の改善に必要な措置を命ずることができる。
2  内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当する場合において、前項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
一  第五十二条の六十二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあつては、第五十二条の六十七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。以下この号において同じ。)に該当しないこととなつた場合又は第五十二条の六十二第一項第五号から第七号までに掲げる要件に該当しないこととなるおそれがあると認められる場合
二  第五十二条の六十五、第五十二条の六十六、第五十二条の六十九又は第五十二条の七十三の規定に違反した場合(その違反行為が紛争解決手続の業務に係るものである場合に限る。)

(紛争解決等業務の休廃止)
第五十二条の八十三  指定紛争解決機関は、紛争解決等業務の全部若しくは一部の休止(次項に規定する理由によるものを除く。)をし、又は廃止をしようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
2  指定紛争解決機関が、天災その他のやむを得ない理由により紛争解決等業務の全部又は一部の休止をした場合には、直ちにその旨を、理由を付して内閣総理大臣に届け出なければならない。指定紛争解決機関が当該休止をした当該紛争解決等業務の全部又は一部を再開するときも、同様とする。
3  第一項の規定による休止若しくは廃止の認可を受け、又は前項の休止をした指定紛争解決機関は、当該休止又は廃止の日から二週間以内に、当該休止又は廃止の日に苦情処理手続又は紛争解決手続(他の指定紛争解決機関又は他の法律の規定による指定であつて紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを受けた者(以下この項において「委託紛争解決機関」という。)から業務の委託を受けている場合における当該委託に係る当該委託紛争解決機関の苦情を処理する手続又は紛争の解決を図る手続を含む。次条第三項において同じ。)が実施されていた当事者、当該当事者以外の加入銀行及び他の指定紛争解決機関に当該休止又は廃止をした旨を通知しなければならない。指定紛争解決機関が当該休止をした当該紛争解決等業務の全部又は一部を再開するときも、同様とする。

(指定の取消し等)
第五十二条の八十四  内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第五十二条の六十二第一項の規定による指定を取り消し、又は六月以内の期間を定めて、その業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一  第五十二条の六十二第一項第二号から第七号までに掲げる要件に該当しないこととなつたとき、又は指定を受けた時点において同項各号のいずれかに該当していなかつたことが判明したとき。
二  不正の手段により第五十二条の六十二第一項の規定による指定を受けたとき。
三  法令又は法令に基づく処分に違反したとき。
2  内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当する場合において、前項の規定による処分又は命令をしようとするときは、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
一  第五十二条の六十二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあつては、第五十二条の六十七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。以下この号において同じ。)に該当しないこととなつた場合又は第五十二条の六十二第一項の規定による指定を受けた時点において同項第五号から第七号までに掲げる要件に該当していなかつたことが判明した場合
二  第五十二条の六十五、第五十二条の六十六、第五十二条の六十九又は第五十二条の七十三の規定に違反した場合(その違反行為が紛争解決手続の業務に係るものである場合に限る。)
3  第一項の規定により第五十二条の六十二第一項の規定による指定の取消しの処分を受け、又はその業務の全部若しくは一部の停止の命令を受けた者は、当該処分又は命令の日から二週間以内に、当該処分又は命令の日に苦情処理手続又は紛争解決手続が実施されていた当事者、当該当事者以外の加入銀行及び他の指定紛争解決機関に当該処分又は命令を受けた旨を通知しなければならない。

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