(合併、会社分割又は事業の譲渡若しくは譲受けの認可等)
第三十条 銀行を全部又は一部の当事者とする合併(当該合併後存続する会社又は当該合併により設立される会社が銀行であるものに限るものとし、金融機関の合併及び転換に関する法律第三条 (合併)の規定による合併に該当するものを除く。以下この章において「合併」という。)は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 銀行を当事者とする会社分割は、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 銀行を当事者とする事業の全部又は一部の譲渡又は譲受けは、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 銀行が信用金庫、信用協同組合又は労働金庫(これらの法人をもつて組織する連合会を含む。以下この章において「信用金庫等」という。)から事業の全部又は一部を譲り受ける場合においては、当該信用金庫等を会社とみなして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十六条 (事業の譲受け等の制限)及び同条 に係る同法 の規定を適用する。
第三十一条 内閣総理大臣は、前条の認可の申請があつたときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 前条の規定による合併、会社分割、事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け(以下この条において「合併等」という。)が、当該合併等の当事者である銀行等(銀行及び長期信用銀行をいう。第五十二条の六十一を除き、以下同じ。)又は信用金庫等が業務を行つている地域(会社分割により事業の一部を承継させ、若しくは承継する場合又は事業の一部の譲渡若しくは譲受けに係る場合にあつては、当該一部の事業が行われている地域に限る。)における資金の円滑な需給及び利用者の利便に照らして、適当なものであること。
二 合併等が金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないものであること。
三 前条の認可の申請をした銀行又は合併により設立される銀行が、合併等の後に、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。
(みなし免許) 第三十二条 第三十条第一項の認可を受けて合併により設立される銀行業を営む会社は、当該設立の時に、第四条第一項の内閣総理大臣の免許を受けたものとみなす。
(合併の場合の債権者の異議の催告) 第三十三条 銀行が合併の決議をした場合においては、預金者等その他政令で定める債権者に対する会社法第七百八十九条第二項 、第七百九十九条第二項又は第八百十条第二項(債権者の異議)の規定による催告は、することを要しない。
(会社分割の場合の債権者の異議の催告)
第三十三条の二 銀行が会社分割の決議をした場合においては、預金者等その他政令で定める債権者に対する会社法第七百八十九条第二項 、第七百九十九条第二項又は第八百十条第二項(債権者の異議)の規定による催告は、することを要しない。
2 会社法第七百五十九条第二項 及び第三項 (株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第七百六十一条第二項及び第三項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第七百六十四条第二項及び第三項(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)並びに第七百六十六条第二項及び第三項(持分会社を設立する新設分割の効力の発生等)の規定は、前項の規定により催告をすることを要しないものとされる預金者等その他政令で定める債権者には、適用しない。
(事業の譲渡又は譲受けの場合の債権者の異議の催告等)
第三十四条 銀行を当事者とする事業の全部の譲渡又は譲受けについて株主総会の決議(会社法第四百六十八条 (事業譲渡等の承認を要しない場合)の規定により同法第四百六十七条第一項 (事業譲渡等の承認等)の決議によらずに事業の全部の譲受けを行う場合には、取締役会の決議又は執行役の決定)がされたときは、当該銀行は、当該決議又は決定の日から二週間以内に、当該決議又は決定の要旨及び当該事業の全部の譲渡又は譲受けに異議のある債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を官報に公告し、かつ、預金者等その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
2 前項の期間は、一月を下つてはならない。
3 第一項の規定にかかわらず、銀行が、同項の規定による公告を、官報のほか、第五十七条の規定による定款の定めに従い、同条各号に掲げる公告方法によりするときは、同項の各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第一項の期間内に異議を述べなかつたときは、当該債権者は、当該事業の全部の譲渡又は譲受けについて承認したものとみなす。
5 債権者が第一項の期間内に異議を述べたときは、当該銀行は、弁済し、又は相当の担保を提供し、若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む他の金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該事業の全部の譲渡又は譲受けをしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第三十五条 銀行を当事者とする事業の一部の譲渡又は譲受けについて株主総会若しくは取締役会の決議又は執行役の決定がされたときは、当該銀行は、当該決議又は決定の日から二週間以内に、当該決議又は決定の要旨及び当該事業の一部の譲渡又は譲受けに異議のある債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を官報に公告することができる。ただし、預金者等その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
2 前項の期間は、一月を下つてはならない。
3 前条第三項から第五項までの規定は、第一項の規定によりされた公告及び催告に係る債権者の異議について準用する。
(会社分割又は事業の譲渡の公告等)
第三十六条 銀行は、会社分割により事業の全部若しくは一部を承継させ、又は事業の全部若しくは一部を譲渡したときは、遅滞なくその旨を公告しなければならない。
2 その公告方法が第五十七条第一号に掲げる方法である銀行が前項の規定による公告をしたときは、当該公告をした銀行の債務者に対して民法 (明治二十九年法律第八十九号)第四百六十七条 (指名債権の譲渡の対抗要件)の規定による確定日付のある証書による通知があつたものとみなす。この場合においては、当該公告の日付をもつて確定日付とする。