第五十七条 国庫は、政令で定めるところにより、次に掲げる都道府県又は保健所を設置する市の費用に対して、その二分の一を負担する。
一 第二十八条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)の規定による収去に要する費用
二 第三十条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)の規定による食品衛生監視員の設置に要する費用
三 第五十二条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による営業の許可に要する費用
四 第五十四条(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)の規定による廃棄に要する費用
五 第五十九条第一項又は第二項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による死体の解剖に要する費用
六 この法律の施行に関する訴訟事件に要する費用及びその結果支払う賠償の費用
第五十八条 食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。
○2 保健所長は、前項の届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは、速やかに都道府県知事等に報告するとともに、政令で定めるところにより、調査しなければならない。
○3 都道府県知事等は、前項の規定により保健所長より報告を受けた場合であつて、食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し、又は発生するおそれがあると認めるときその他厚生労働省令で定めるときは、直ちに、厚生労働大臣に報告しなければならない。
○4 保健所長は、第二項の規定による調査を行つたときは、政令で定めるところにより、都道府県知事等に報告しなければならない。
○5 都道府県知事等は、前項の規定による報告を受けたときは、政令で定めるところにより、厚生労働大臣に報告しなければならない。
第五十九条 都道府県知事等は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に付することができる。
○2 前項の場合において、その死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる。
○3 前二項の規定は、刑事訴訟に関する規定による強制の処分を妨げない。
○4 第一項又は第二項の規定により死体を解剖する場合においては、礼意を失わないように注意しなければならない。
第六十条 厚生労働大臣は、食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し、若しくは発生するおそれがある場合又は食中毒患者等が広域にわたり発生し、若しくは発生するおそれがある場合であつて、食品衛生上の危害の発生を防止するため緊急を要するときは、都道府県知事等に対し、期限を定めて、食中毒の原因を調査し、調査の結果を報告するように求めることができる。
第六十一条 都道府県等は、食中毒の発生を防止するとともに、地域における食品衛生の向上を図るため、食品等事業者に対し、必要な助言、指導その他の援助を行うように努めるものとする。
○2 都道府県等は、食品等事業者の食品衛生の向上に関する自主的な活動を促進するため、社会的信望があり、かつ、食品衛生の向上に熱意と識見を有する者のうちから、食品衛生推進員を委嘱することができる。
○3 食品衛生推進員は、飲食店営業の施設の衛生管理の方法その他の食品衛生に関する事項につき、都道府県等の施策に協力して、食品等事業者からの相談に応じ、及びこれらの者に対する助言その他の活動を行う。
第六十二条 第六条、第八条、第十条、第十一条第一項及び第二項、第十六条から第二十条まで、第二十五条から第五十六条まで並びに第五十八条から第六十条までの規定は、乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣の指定するおもちやについて、これを準用する。この場合において、第十条中「添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されている物であつて添加物として使用されるものを除く。)」とあるのは、「おもちやの添加物として用いることを目的とする化学的合成品(化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学的反応を起こさせて得られた物質をいう。)」と読み替えるものとする。
○2 第六条並びに第十一条第一項及び第二項の規定は、洗浄剤であつて野菜若しくは果実又は飲食器の洗浄の用に供されるものについて準用する。
○3 第十五条から第十八条まで、第二十五条第一項、第二十八条から第三十条まで、第五十一条及び第五十四条から第五十六条までの規定は、営業以外の場合で学校、病院その他の施設において継続的に不特定又は多数の者に食品を供与する場合に、これを準用する。
第六十三条 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び都道府県知事は、食品衛生上の危害の発生を防止するため、この法律又はこの法律に基づく処分に違反した者の名称等を公表し、食品衛生上の危害の状況を明らかにするよう努めるものとする。
第六十四条 厚生労働大臣は、第六条第二号ただし書(第六十二条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)に規定する人の健康を損なうおそれがない場合を定めようとするとき、第七条第一項から第三項までの規定による販売の禁止をしようとし、若しくは同条第四項の規定による禁止の全部若しくは一部の解除をしようとするとき、第九条第一項の厚生労働省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき、第十条に規定する人の健康を損なうおそれのない場合を定めようとするとき、第十一条第一項(第六十二条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)に規定する基準若しくは規格を定めようとするとき、第十一条第三項に規定する人の健康を損なうおそれのないことが明らかである物質若しくは人の健康を損なうおそれのない量を定めようとするとき、第十八条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)に規定する基準若しくは規格を定めようとするとき、第二十三条第一項に規定する輸入食品監視指導計画を定め、若しくは変更しようとするとき、又は第五十条第一項に規定する基準を定めようとするときは、その趣旨、内容その他の必要な事項を公表し、広く国民の意見を求めるものとする。ただし、食品衛生上の危害の発生を防止するため緊急を要する場合で、あらかじめ広く国民の意見を求めるいとまがないときは、この限りでない。
○2 都道府県知事等は、第二十四条第一項に規定する都道府県等食品衛生監視指導計画を定め、又は変更しようとするときは、その趣旨、内容その他の必要な事項を公表し、広く住民の意見を求めなければならない。
○3 厚生労働大臣は、第一項ただし書の場合においては、事後において、遅滞なく、広く国民の意見を求めるものとする。
○4 第一項及び前項の規定は、内閣総理大臣が第十九条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する表示についての基準を定めようとするとき、並びに厚生労働大臣及び内閣総理大臣が指針を定め、又は変更しようとするときについて準用する。
第六十五条 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び都道府県知事等は、食品衛生に関する施策に国民又は住民の意見を反映し、関係者相互間の情報及び意見の交換の促進を図るため、当該施策の実施状況を公表するとともに、当該施策について広く国民又は住民の意見を求めなければならない。
第六十五条の二 第六十四条第一項本文に規定する場合には、厚生労働大臣は、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。
○2 内閣総理大臣は、第十九条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する表示についての基準を定めようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣に協議しなければならない。
○3 厚生労働大臣は、第十一条第一項(第六十二条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)又は第十八条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)に規定する基準又は規格を定めたときその他必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、第十九条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する表示についての基準を定めることを求めることができる。
第六十五条の三 厚生労働大臣及び内閣総理大臣は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止するため、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとする。
第六十六条 第四十八条、第五十二条から第五十六条まで及び第六十三条の規定中「都道府県知事」とあるのは、保健所を設置する市又は特別区にあつては、「市長」又は「区長」と読み替えるものとする。ただし、政令で定める営業に関する政令で定める処分については、この限りでない。
第六十七条 前条本文に規定するもののほか、この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。
第六十八条 この法律の規定により地方公共団体(都道府県を除く。)の長が行う処分(地方自治法第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務(次条において「第一号法定受託事務」という。)に係るものに限る。)についての審査請求の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣(第五十四条第二項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)の規定による処分に係るものにあつては、内閣総理大臣)に対して再審査請求をすることができる。
第六十九条 第二十五条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第二十六条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第三十条第二項(第五十一条に規定する営業(飲食店営業その他販売の営業であつて、政令で定めるものに限る。)の許可に付随する監視指導に係る部分を除くものとし、第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第五十四条(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第五十八条(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第五十九条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とする。 ○2 第二十八条第一項(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第三十条第二項(第五十一条に規定する営業(飲食店営業その他販売の営業であつて、政令で定めるものに限る。)の許可に付随する監視指導に係る部分を除くものとし、第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第五十四条(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第五十八条(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第五十九条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定により保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とする。
第七十条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
○2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
○3 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。