(目的)
第一条 株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融の機能並びに我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進し、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上を図り、並びに地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進するための金融の機能を担うとともに、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融を行うほか、当該必要な金融が銀行その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能とし、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与することを目的とする株式会社とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 生活衛生関係営業者 前条に規定する国民一般のうち、生活衛生関係営業(生活衛生関係の営業として政令で定める営業をいう。以下同じ。)を営む者であって、生活衛生同業組合その他の政令で定めるものをいう。
二 農林漁業者 農業(畜産業及び養蚕業を含む。)、林業、漁業若しくは塩業(以下「農林漁業」という。)を営む者又はこれらの者の組織する法人(これらの者又は地方公共団体が主たる構成員若しくは出資者となっているか又は基本財産の額の過半を拠出している法人で農林漁業の振興を目的とするものを含む。)をいう。
三 中小企業者 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業者については一億円)以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業者については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については百人)以下の会社及び個人であって、政令で定める業種に属する事業(以下「中小企業特定事業」という。)を営むもの(ロの政令で定める業種に属する事業を主たる事業とするものを除く。)
ロ 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業とするもののうち、中小企業特定事業を営むもの
ハ 中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、森林組合、生産森林組合、森林組合連合会、消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会であって、中小企業特定事業を営むもの又はその構成員の三分の二以上が中小企業特定事業を営む者であるもの
ニ 協業組合であって、中小企業特定事業を営むもの
ホ 商工組合及び商工組合連合会であって、中小企業特定事業を営むもの又はその構成員が中小企業特定事業を営む者であるもの
ヘ 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会であって、中小企業特定事業を営むもの又はその構成員の三分の二以上が中小企業特定事業を営む者であるもの
ト 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合及び生活衛生同業組合連合会であって、その直接又は間接の構成員の三分の二以上が五千万円(卸売業を主たる事業とする事業者については、一億円)以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時五十人(卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、百人)以下の従業員を使用する者であるもののうち、中小企業特定事業を営むもの又はその構成員が中小企業特定事業を営む者であるもの
チ 酒造組合、酒造組合連合会及び酒造組合中央会であって、その直接又は間接の構成員である酒類製造業者の三分の二以上が三億円以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時三百人以下の従業員を使用する者であるもの並びに酒販組合、酒販組合連合会及び酒販組合中央会であって、その直接又は間接の構成員である酒類販売業者の三分の二以上が五千万円(酒類卸売業者については、一億円)以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時五十人(酒類卸売業者については、百人)以下の従業員を使用する者であるもの
リ 内航海運組合及び内航海運組合連合会であって、その直接又は間接の構成員である内航海運事業を営む者の三分の二以上が三億円以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時三百人以下の従業員を使用する者であるもの
四 特定資金 内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な資金であって政令で定めるものをいう。
五 危機対応業務 特定資金の貸付け、特定資金に係る手形の割引、債務の保証若しくは手形の引受け、特定資金の調達のために発行される社債の応募その他の方法による取得又は特定資金に係る貸付債権の全部若しくは一部の譲受け(以下「特定資金の貸付け等」という。)のうち、公庫からの信用の供与(第四十一条第六号に掲げる業務に該当するものを除く。)を受けて行うものをいう。
(株式の政府保有)
第三条 政府は、常時、公庫の発行済株式の総数を保有していなければならない。
(政府の出資)
第四条 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公庫に出資することができる。
2 公庫は、前項の規定による政府の出資があったときは、会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、当該出資された額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)」とする。
3 公庫は、第一項の規定による政府の出資があったときは、その出資により増加する資本金又は準備金を、第四十一条に定める経理の区分に従い、同条各号に掲げる業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
(名称の使用制限等)
第五条 公庫でない者は、その名称中に日本政策金融公庫という文字を用いてはならない。
2 公庫は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第六条第二項の規定にかかわらず、第十三条第三項に規定する部門の名称として、国際協力銀行という名称を用いることができる。
3 公庫でない者は、国際協力銀行という名称を用いてはならない。