株式会社日本政策金融公庫の会計に関する省令
株式会社日本政策金融公庫の会計に関する省令
(平成二十年九月八日財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第三号)
最終改正:平成二四年三月二六日財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第一号
株式会社日本政策金融公庫法 (平成十九年法律第五十七号)第五十七条 の規定に基づき、株式会社日本政策金融公庫の会計に関する省令を次のように定める。
(目的)
第一条 この省令は、株式会社日本政策金融公庫法(以下「法」という。)の規定により委任された株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)の会計に関する事項その他の事項について、必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この省令において使用する用語は、法及び株式会社日本政策金融公庫法施行令(平成二十年政令第百四十三号)において使用する用語の例によるほか、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 財務諸表 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表及びキャッシュ・フロー計算書をいう。
二 勘定別財務諸表 法第四十一条の規定により経理を区分し、次条に定める勘定を設けて整理する場合において当該勘定ごとに作成する財務諸表をいう。
三 附属明細書 財務諸表(キャッシュ・フロー計算書を除く。)に係る附属明細書をいう。
四 勘定別附属明細書 勘定別財務諸表(キャッシュ・フロー計算書を除く。)に係る附属明細書をいう。
五 共通経費等 費用又は収益であって、次条に定める勘定のうち一の勘定において経理すべき事項が他の勘定において経理すべき事項と共通の事項であるものをいう。
(勘定区分)
第三条 法第四十一条の規定により設ける勘定は、次に掲げる勘定とする。
一 法第四十一条第一号に掲げる業務に係る勘定 国民一般向け業務勘定
二 法第四十一条第二号に掲げる業務に係る勘定 農林水産業者向け業務勘定
三 法第四十一条第三号に掲げる業務に係る勘定 中小企業者向け融資・証券化支援保証業務勘定
四 法第四十一条第四号に掲げる業務に係る勘定 中小企業者向け証券化支援買取業務勘定
五 法第四十一条第五号に掲げる業務に係る勘定 信用保険等業務勘定
六 削除
七 法第四十一条第七号に掲げる業務に係る勘定 危機対応円滑化業務勘定
(遵守義務)
第四条 公庫は、この省令の定めるところにより、その会計を整理しなければならない。ただし、特別の理由がある場合には、主務大臣の承認を受けて、この省令の定めるところと異なる整理をすることができる。
(会計原則)
第五条 公庫は、次に掲げる基準に従ってその会計を処理しなければならない。
一 経営成績及び財政状態について、真実な内容を表示すること。
二 すべての取引について、正規の簿記の原則に従い、正確な会計帳簿を作成すること。
三 経営及び財政の状況を正確に判断することができるように必要な会計事実を明瞭に表示すること。
四 会計方針を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。
五 その他一般に公正妥当と認められる会計の原則に従うこと。
(財務諸表の様式)
第六条 公庫は、別表第一の様式により財務諸表及び勘定別財務諸表を作成しなければならない。
(附属明細書の様式等)
第七条 公庫は、別表第二の様式により附属明細書及び勘定別附属明細書を作成しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、財務諸表に添付する附属明細書において勘定別の内訳を明らかにした場合は、勘定別附属明細書の作成を要しない。
(財産目録の内容)
第八条 財産目録は、毎事業年度末日現在における資産及び負債の状況を明らかにするため、その名称、価額その他必要な事項を貸借対照表の区分に準じて資産の部と負債の部とに区分して表示するものとする。
(保険契約準備金)
第九条 公庫は、毎決算期において、信用保険等業務勘定に、保険契約準備金として次の各号に掲げる金額の合計額を積み立てなければならない。
一 責任準備金 保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、主務大臣の定めるところにより保険数理に基づき計算した金額
二 支払備金 次のイ及びロに掲げる金額の合計額からハに掲げる金額を控除した金額
イ 保険契約に基づいて支払義務が発生した保険金(当該支払義務に係る訴訟が係属しているものを含む。)のうち、公庫が毎決算期において、まだ支出として計上していないものがある場合は、当該支払のために必要な金額
ロ 公庫が、毎決算期において、まだ支払事由の発生の報告を受けていないが保険契約に規定する支払事由が既に発生したと認める保険金について、その支払のために必要なものとして主務大臣が定める金額
ハ 保険契約に基づいて支払義務が発生した保険金及びまだ支払事由の発生の報告を受けていないが保険契約に規定する支払事由が既に発生したと認める保険金に基づく回収金として、主務大臣の定めるところにより計算した金額
2 前項の規定により積み立てられた保険契約準備金では、将来の債務の履行に支障を来すおそれがあると認められる場合には、主務大臣の定めるところにより、追加して保険契約準備金を積み立てなければならない。
(区分経理に係る会計処理の原則)
第十条 公庫は、次に掲げる原則によって勘定別財務諸表を作成しなければならない。
一 同一環境下で行われた同一の性質の取引等に係る会計処理の原則及び手続は、原則として公庫において統一するものとし、合理的な理由がない限り勘定ごとに異なる会計処理の原則及び手続を適用してはならないこと。
二 各勘定の費用及び収益は、各勘定が経理すべき業務に基づき合理的に帰属させ、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならないこと。
(共通経費等の配賦原則)
第十一条 公庫は、共通経費等であるため、一の勘定に係る部分を区分して経理することが困難なときは、当該共通経費等については、主務大臣の承認を受けて定める基準(以下この条において「配賦基準」という。)に従って、各勘定に配分することにより経理することができる。
2 配賦基準は、毎期継続して適用するものとし、みだりに変更してはならないものとする。
3 公庫は、共通経費等を経理する場合は、事業年度の期間中一括して整理し、当該事業年度の末日現在において各勘定に配分することにより経理することができる。
4 公庫は、配賦基準を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
5 配賦基準を変更した場合は、変更された配賦基準の内容、変更した理由及び当該変更が勘定別財務諸表に与えている影響の内容を当該勘定別財務諸表に注記しなければならない。
(勘定間の資金融通)
第十二条 中小企業者向け融資・証券化支援保証業務勘定及び中小企業者向け証券化支援買取業務勘定間における資金の融通(短期のものに限る。)は、融通をする勘定からその融通を受ける勘定への貸付けとして整理するものとする。