株式会社日本政策金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律
株式会社日本政策金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律
(昭和二十九年五月十日法律第九十一号)
【 改正履歴等一覧 】
最終改正:平成二四年八月二二日法律第六三号
(最終改正までの未施行法令)
平成二十四年八月二十二日法律第六十三号 (未施行)
(目的)
第一条 この法律は、株式会社日本政策金融公庫が恩給等を担保として貸付けをする場合におけるその担保の効力に関する規定を設けるとともに、その業務の範囲を拡張することにより、恩給等を担保とする金融の円滑化を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において「恩給等」とは、次に掲げるものをいう。
一 恩給法(大正十二年法律第四十八号)その他の法令に規定する恩給で年金として給されるもの
二 戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)第五条(援護の種類)に規定する障害年金、遺族年金及び遺族給与金
三 条例により地方公共団体から給される年金で前二号に掲げるものに準ずるもの
四 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第七十二条第一項(長期給付の種類等)、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法(昭和三十三年法律第百二十九号)第三条(施行日前に給付事由が生じた給付の取扱)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)第七十四条(長期給付の種類)、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和三十七年法律第百五十三号)第三条(施行日前に給付事由が生じた給付の取扱い等)及び第九十二条(旧団体共済組合員に係る従前の給付の取扱い等)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)第二十条第二項(長期給付)並びに旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和二十五年法律第二百五十六号)第三条(旧陸軍共済組合及び共済協会の権利義務の承継)、第四条(外地関係共済組合に係る年金の支給)及び第七条の二(旧陸軍共済組合令の適用を受けていた者等に対する年金の支給)に規定する給付で年金として給されるもの
五 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用し、又はその例によるものとする場合を含む。)第九条(補償の種類)に規定する傷病補償年金、障害補償年金及び遺族補償年金
六 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二十五条第一項(補償の種類等)に規定する傷病補償年金、障害補償年金及び遺族補償年金並びに同法第六十九条第一項(非常勤の地方公務員に係る補償の制度)、消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)第二十四条第一項、水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第六条の二第一項(公務災害補償)及び公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和三十二年法律第百四十三号)第四条第一項(補償の範囲、金額、支給方法等)の規定に基づく条例(水防法第六条の二第一項の規定に基づく水害予防組合の組合会の議決を含む。)により支給される補償でこれらに相当するもの
七 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律(昭和二十七年法律第二百四十五号)第五条第一項(給付の種類)に規定する傷病給付、障害給付及び遺族給付で年金として給されるもの(同法第十条の規定を準用する他の法律に基づく給付でこれらに相当するものを含む。)並びに消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第三十六条の三第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、水防法第四十五条(第二十四条の規定により水防に従事した者に対する災害補償)及び災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第八十四条第一項(応急措置の業務に従事した者に対する損害補償。原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)の規定に基づく条例(水防法第四十五条の規定に基づく水害予防組合の組合会の議決を含む。)による補償で年金として給されるもの
八 証人等の被害についての給付に関する法律(昭和三十三年法律第百九号)第五条第一項(給付の種類)に規定する傷病給付、障害給付及び遺族給付で年金として給されるもの
2 この法律において「受給証書」とは、恩給等が給されることを証する書面をいう。
(担保に供された恩給等の支払)
第三条 株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)に担保に供された恩給等については、その担保に供されている間は、公庫だけがこれに係る恩給等の支払を受けることができる。
2 公庫は、担保に供された恩給等について支払を受ける金銭をもつて当該担保に係る貸付金の弁済に充当するものとする。
(受給権の放棄の禁止)
第四条 恩給等を担保に供して公庫から貸付を受けた者は、その債務の全部の弁済が終るまでは、その担保に係る恩給等を受ける権利を放棄することができない。
(担保の範囲)
第五条 公庫が、恩給等について担保権を有する場合において、その担保に供された恩給等の受給額が改定されたときは、改定後の恩給等の上に担保権を有する。
2 恩給等を担保に供した場合においては、その担保の効力は、当該恩給等を担保に供した者の遺族(その担保に供した者が遺族であるときは、その後順位者)が受ける恩給等の上には及ばない。
(証書の引渡し)
第六条 恩給等を担保に供する者は、その受給証書を公庫に引き渡さなければならない。但し、裁定前の恩給等を担保に供する場合その他受給証書の発行がない場合においては、この限りでない。
(裁定庁への通知)
第七条 恩給等を担保として貸付をしたとき、又はその担保権が消滅したときは、公庫は、遅滞なく、その旨を当該恩給等の裁定をする機関(以下「裁定庁」という。)及びその支払をする機関に通知しなければならない。但し、裁定前の恩給等を担保として貸付をした場合においてその支払をする機関に対してする通知は、当該恩給等について裁定があつた後にすればよい。
(証書の公庫への交付)
第八条 裁定庁は、公庫に担保に供された恩給等について受給証書を発行し、又は再発行する場合においては、当該証書を公庫に交付しなければならない。
(公庫の代位)
第九条 公庫は、恩給等を担保に供した者に代つて、恩給等に関する請求、裁定庁に対する書類の提出その他恩給等の保全に必要な行為をすることができる。
(公庫の業務の特例)
第十条 公庫は、株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)第十一条第一項第一号及び第二号並びに第二項第一号の規定にかかわらず恩給等を担保とする場合に限り、これらの規定による貸付け以外の貸付けの業務を行うことができる。
2 前項の業務は、株式会社日本政策金融公庫法の適用については、同法第十一条第一項第一号の規定による同法別表第一第一号の下欄に掲げる資金の貸付けの業務とみなす。