第一章 総則(第一条・第二条)
(目的)
第一条 この法律は、金融機関等をめぐる情勢の変化に対応して金融機関等の金融機能の強化を図るため、金融機関等の資本の増強等に関する特別の措置を講ずることにより、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済の活性化を期し、もって信用秩序の維持と国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「金融機関等」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものを除く。)をいう。
一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(第五項において「銀行」という。)
二 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行(第五項において「長期信用銀行」という。)
三 信用金庫
四 信用協同組合
五 労働金庫
六 信用金庫連合会
七 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号及び第二号の事業を行う協同組合連合会(第七項において「信用協同組合連合会」という。)
八 労働金庫連合会
九 農林中央金庫
十 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号及び第三号の事業を行う農業協同組合連合会(第十八条第二項において「農業協同組合連合会」という。)
十一 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第八十七条第一項第三号及び第四号の事業を行う漁業協同組合連合会(第十八条第三項において「漁業協同組合連合会」という。)
十二 水産業協同組合法第九十七条第一項第一号及び第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会(第十八条第四項において「水産加工業協同組合連合会」という。)
十三 銀行持株会社等(銀行法第二条第十三項に規定する銀行持株会社又は長期信用銀行法第十六条の四第一項に規定する長期信用銀行持株会社をいう。以下同じ。)
2 この法律において「株式等」とは、株式、劣後特約付社債(元利金の支払について劣後的内容を有する特約が付された社債であって、金融機関等の自己資本の充実に資するものとして政令で定める社債に該当するものをいう。)又は優先出資(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号。以下「優先出資法」という。)に規定する優先出資をいう。以下同じ。)をいう。
3 この法律において「株式等の引受け等」とは、株式等の引受け又は劣後特約付金銭消費貸借(元利金の支払について劣後的内容を有する特約が付された金銭の消費貸借であって、金融機関等の自己資本の充実に資するものとして政令で定める金銭の消費貸借に該当するものをいう。以下同じ。)による貸付けをいう。
4 この法律において「子会社」とは、銀行法第二条第八項に規定する子会社又は長期信用銀行法第十三条の二第二項に規定する子会社をいう。
5 この法律において「子会社等」とは、銀行法第五十二条の二十五(長期信用銀行法第十七条において準用する場合を含む。)に規定する子会社等(銀行又は長期信用銀行(以下「銀行等」という。)に限る。)をいう。
6 この法律において「金融組織再編成」とは、次に掲げる行為であって、その当事者(第二号又は第四号に掲げる行為にあっては、当該行為を共同して行う金融機関等を含む。第三章において同じ。)のいずれかが銀行持株会社等でないものをいう。
一 株式交換(各当事者が金融機関等である場合に限る。)
二 株式移転(金融機関等が共同して行う株式移転であって、当該株式移転により新たに設立される株式移転設立完全親会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社をいう。以下同じ。)が銀行持株会社等である場合に限る。)
三 合併(各当事者が金融機関等である場合に限る。)
四 会社分割(金融機関等が共同して行う新設分割、金融機関等が単独で行う新設分割(事業の一部を承継させる新設分割であって、当該新設分割の後において当該新設分割により事業の一部を承継させた会社及び当該新設分割により新たに設立された会社が金融機関等である場合に限る。)及び吸収分割(各当事者が金融機関等である場合に限る。)に限る。)
五 会社分割による事業の承継(吸収分割(各当事者が金融機関等である場合に限る。)による事業の承継に限る。)
六 事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け(各当事者が金融機関等である場合に限る。)
七 他の金融機関等への株式の交付(当該交付により当該他の金融機関等が金融機関等の経営を実質的に支配し、又は経営に重要な影響を与える場合として主務省令で定める場合に限るものとし、第一号、第二号及び第五号に掲げる場合を除く。)
八 他の金融機関等からの交付による株式の取得(当該取得により金融機関等が当該他の金融機関等の経営を実質的に支配し、又は経営に重要な影響を与える場合として主務省令で定める場合に限るものとし、第一号及び第四号に掲げる場合を除く。)
7 この法律において「協同組織中央金融機関」とは、次に掲げる者をいう。
一 全国を地区とする信用金庫連合会
二 全国を地区とする信用協同組合連合会
三 全国を地区とする労働金庫連合会
8 この法律において「協同組織金融機関」とは、第一項第三号から第八号までに掲げる金融機関等(協同組織中央金融機関を除く。)をいう。